テキスト1991
12/147

三、四本が穂になって垂れ下がっているのは榛の雄花の奮で、その花柄の根元に小さな雌花がついていて三月か四月に地味な花が咲く。実は食べられるが、食用として栽培されている品種はヨーロッパの西洋榛でチョコレートに入れられたりしているへlゼルナットである。ヨーロッパ人には親しみ深い果樹なのだろう。小説に榛色の瞳という表現花器焼締横長深鉢赤椿二種挿がよく使われている。初冬、一二、四本の榛に白椿が一輪というのは純日本的ないけ花のとりあわせの感覚で季節の静かな風趣の寡黙な表現であろ、っ。野生の榛の細枝は他の雑木に伸びて行く方向を妨げられて妙な曲がり方をしているものがかなりある。素直な枝に、そんな枝を一本ぐらいいけまじえると少し野趣が感じられるようになる。寂びた榛の冬枝の根元に華やかな色椿をそえ土の香のしそうな肱似の花器に落着かせてみた。8 榛と

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る