テキスト1990
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大きな芋のよ、つな幹に相当多量の養分を蓄えているせいか、蘇そ鉄てつは生命力の強い植物である。この蘇鉄も、その芋のような幹だけだったのを、使ったあと庭にころがしておいたらいつの間にか葉を出していた。気の毒なことをしたという思いで植木鉢に植えてやったが、以来7・8年間毎年少しずつ大きくなり葉の枚数もふえ続けている。蘇鉄は大小二枚で前に大きな方を、後に小さな方をしっかりと剣山にとめておく。葉は見た感じも固く、暗い緑色で、草花をあわせる場合には形のはっきりした花をとりあわせたい。白いパラは暗緑色の蘇鉄の葉と較べると明暗の対照の上でコントラストの強い配色といえる。普通白い花はコントラストをやわらげる目的に使われることが多いが、作例の三種のとりあわせの場合淡紫色のリアトリスが明暗の対照の強さをやわらげている。大きな蘇鉄葉は自然調に左右になびかせるよりも正面を向けて立ち上がらせた方が色も形もはっきりするのでいけやすい花材である。花材蘇鉄リアトリス白バラ花器淡紅柑水盤蘇鉄3

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