テキスト1990
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日本の伝統色名では、ピンク系の最も淡い色を桜色とよんでいる。中には例外的に、寒緋桜、台湾緋桜等赤い桜もあり、満開時の花色が派手過ぎると感じられるのか、やはり例外的な見慣れない桜である。緋色系統の桜は別として、とりあわせて配色の良いのは草花では社務やアイリスの紫だろう。とくに三月に入って池の水が心もちぬるみはじめる頃、咲き初めの社若に七分咲の彼岸桜をとりあわせ、大きな水盤になみなみと水を張っていけると残寒を忘れ、四月中旬の明るい空の下に居るような心地がする作例はアイリスの紫で桜の色を鮮かに浮き出させ、又そのしなやかにカーブした緑の葉を自由に流し、水際の良くない交差を紅椿で囲った。何気ない茶色の壷がよくあう。花器焦茶色陶小査花材桜アイリス紅椿桜色

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