テキスト1990
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第三種郵便物認可桑原専疫流いけばなテキスト330号1990年12月1日発行(毎月1回1日発行)桑原専炭流家元発行定価五00円できないのではないかと思う。市内の欅並木か渋く色付き‘銀杏の黄葉が明る<照り輝く頃、京都を囲む山裾はもう小寒い。そして山茶花か咲き始め、秋の暮れるのも間近いことを告げる。晩秋、通りすがりに見る嵯峨野や大原の山茶花の都びた美しさにふれると毎年その季節になるといけてみたくなる。今年は野路菊といけ合わせてみた。野路菊といっても足摺野路菊や大島野路菊のような純粋な野生種ではなV、交配された栽培品種ではあろうが本来の野趣を残して枝か踊っている。この菊も田舎道で往来の埃を浴びて捨て育ちにされたものと違って葉も花も清楚な野路菊なので、山茶花ととりあわせても品良く野の風情を匂わせている。山茶花、野路菊‘共に野花といった花ではあるが‘散っては咲き続ける山茶花も、次々と細枝をしなわせるように咲き乱れる野路菊も、その花の出生そのままを花瓶の口から溢れるようにいけたい。厳しく見詰めすぎて山茶花一輪‘菊一枝では‘この晩秋の静かで豊かなひ鄭なの風趣を洗練された優しさにいけ上げることは花材山茶花野路菊花器紅釉耳付花瓶"や虐ほ•jn,ちょう、

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