テキスト1990
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花器淡緑柚水盤生花用に栽培された五葉松は葉も短く締まり、姿も整っているので簡単にいけられるが、いけ上げてみると大して見所のないものである。だが一本の木に使える枝が僅かしかついていない野生の五葉松の枚取りを考えながらいけ上げるのも中々良いものである。作例は長き凶μほどの二本から副や胴の垂れ枝、控の曲がり枝等、良い所を選んで組み合わせた生花である。ところで生花には良い枝ぶりの花材が欲しいのだが一瓶に癖のある良い枝を使い過ぎると見せ場が多くなり、反って品格の下がってしまうこともある。この作例では右斜前に出した副の垂れ枝を見所に据え、それに対して控の癖枝を左斜後に配した留流しで品良く自然におさめた。留流し五葉松6

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