テキスト1990
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KBSホlルのいけばな展春咲きのも中島の実が大きくふくらむ頃、秋咲きの花が聞く。又その反対もあって木瓜の花と実の関係は中々面白い。木瓜の実でとくに興趣に富んでいるのは野山に自生する草木瓜の実である。梨を小さくしたような凸凹した実の重みで枝がしなり、そこに野生の命の健気きが感じられる。作例に用いた園芸品種の木瓜の実は草木瓜の実より形も整っていて色も美しい。華やかな紅の花ともっつりが良く、白椿をそえると上品な秋の香気が漂ってくる。上下左右と気僅に伸びる木瓜の枝の整理は最少限にとどめ、枝と枝の聞を広くとって交差を目立たないように形をきめる。かなり重さのかかる実付きの枝にはしっかりしたT字配りをかけていけはじめる。花材木瓜白椿花器三島手耳付花瓶このいけばな展は、9月比日からは山日まで烏丸下長者町のKBSホールで行われ、桑原はなが出品した。とりあわせやスタイルは自分で決めていけこみに行ったのだが、玉萄黍、ガーベラ、蔓のモンステラといういけにくい花材を何とかまとめあげていた。花と実4

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