テキスト1990
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ち2八表紙の花>毎年夏の夕方、裏庭の竹藪に菌糸のような白い奇妙な花が咲いた。それが烏瓜の花だと知ったのは四•五年もたってからのことである。よく実のなった年には遊園地の提でぶら下かる。あの陰気で薄気味の悪いような花から何故こんな副軒な実ができるのか、不思議な蔓草である。烏瓜を自然調に、季節の風物としていける場合には五・六個を適当な長さの枯枝に蔓をからませて実を下げ、秋草をそえたりするが、かなりまとまった籠を集めてマッス状にかため、その濃いオレンジ色を際立たせて野生植物の生命力の強さを表現してみてもよいだろう。表紙の花はその一例だが、花器と烏瓜の最感に対してルレーブ(百合)はこれぐらいの輪数の開花が必要であろう。花材烏瓜ルレーブ花器抽象文扁壷八2頁の花>は立花、現在でも投入によく使われているが、枯葉は立花の大葉としていつでも利用できるよう、箱に入れて保存されていた。立花の大葉として用いる場合には葉柄に足をつけて挿していたが、現ひえさ土らょf木悦の木は若葉の出始める頃、古くん灯のようにオレンジ色の烏瓜が並ん

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