テキスト1989
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きるとりいぱ・勺さんさらいあで土品、「ノ。山路では鋭い練で足にからむ厄介者の猿取茨(山錦来)も、ほんのりと淡紅のきした貴やかなダリアを挿し添えると俄かにとりすまして、もともと私は上品な植物でございます、というような顔付きに変る。初対面同士の花をひき合わせるのは私達である。それぞれの花の経歴を充分に知った上で、親切にお互を紹介してやらないと、出会った時から花器の中で何日間かを暮らす花達は、そっぽを向いたままで萎れてしそして花達の気に入ってくれそうな居心地のよい花器も必要である。もし気に入ってもらえそうな花器がない場合、やはり花達にそのことを諒解してもらわなければならない。自分の求めている姿、形のいけ花を、自分の造型意志という次元で押し通さず、花と相談しながらいけた方が良いということは分かっているのだが中々花との意志の疏通がはかれないのが私の現状である。作例に使ったダリアは私の一番好きな品種で、中聞きの花をいけ、・四目だって聞ききってからは、短かく切って水溜に浮かべると、蓮か臨訟のように美しい。花材ダリア猿取茨花器黒紬陶筒猿取茨三

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