テキスト1989
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ル14ク八工コとへ↓ムf・E虫草ZーA,るL白りたかっさ八月の中旬になると、中部地方の高原では松虫草が咲きはじめる。一度見に行こうと話しながら、お盆休み交通事情を考えると、とても出かける気にはならない。松虫草は江戸時代には野草と見られていて園芸植物としては栽培されてはいなかったらしい。それが明治時代になってヨーロッパ産の西洋松虫草が観賞用として伝わってから日本にも、それに負けないほど美しく群生する松虫草や、草丈は低いが紫色の鮮かな高嶺松虫草のあることが見直きれ、花壇や切花用に栽培されるようになったそうである。作例の盛花には夏前から出はじめる西洋松虫草を楼子がいけたものである。淡紫色の花一色では立体感が出ないので、前につき出した花の後に白花の松虫草をあしらって前後の奥行が感じられるよ、つに茎の長きを考えながら挿して行く。花茎の長い松虫草の上部には葉がなく、花から初日ノぐらいつく葉も貧弱で緑としては役に立たない。そこで他の花の緑を借りるのだが、ここでは松虫草のかたまりに対して杜若の葉で高きと、やや左に向かう動きをあたえた。花材西洋松虫草・社若の葉花器漆塗高杯5

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