テキスト1989
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はととざすヲ令。花材この盛花は和則にいけさせたものだが、大きい鶏頭の花八本に対して、薄の葉がのびのびと四方にひろがっている軽やかきが良い。鶏頭が花屋に出はじめるのは、お盆あたりからだが、その頃は真赤な小型の久留米鶏頭で、般に静かなおとなしい感じの秋草のいけ花に二・三本とりあわせると、他の花の色も明るくひき立って見える。この盛花に使ったのはオランダ産の鶏頭でモノクロームの写真で、色の黒い方は、ややくすんだ赤紫色、淡色の方もややくすんだ淡緑色である。他に鮮かな色の花は使わず、薄と花の目立たない玉川杜鵠草をとり合わせに選ぶと、渋い色調のいけ花となる。鶏頭をいける際、葉が水揚が悪いといって全部むしりとっていける人もあるが、切りたての新鮮なものなら葉は生き生きしているので、悪い葉だけとって自然な姿でいけたい。玉川杜鵠草の花は黄色で、日本各地の山地や深山の谷川の岸など水気の多いところに野生しており、切花としては七月頃から出荷され、杜鵠草のうちでは開花期の早い品種であ玉川杜鵠草花器白磁深鉢薄鶏頭夏草三?討司副凶酔,,4

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