テキスト1989
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笹百合の最盛期の六月初旬に挿した生花である。百合は世界各国で新品種の開発が行われ、多彩なフラワーデザインにも多量に使われているが、その原種になっている日本の百合の多くは初夏から咲き初める。主な百合では、毎年待ちかねていける笹百合、花屋にも僅かな期間しか出ない竹島百合、そして祇園祭が近付くと為朝百合が出はじめる。笹百合の咲く頃には新緑の生々しい長範の葉も為朝百合も七月に入るともう濃緑に変る。主材の七竃は葉をすかして苔におおわれた幹を見せて深山の趣きを出し、控の一輪の笹百合が清楚きを感じきせる。留具には蛇の目を使い深々とした水に挿した。花材七竃笹百合花器染付大鉢見越真8

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