テキスト1989
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花器わかは11初夏年6月1日発行(毎月回日発行)桑原専脱流家元発定行価五00円青葉とピンクの百合。ごくありきたりのとりあわせだか、このようないけ花か季節の美しさを単刀直入に教えてくれる。自然調なとりあわせなので板屋楓も葉を水平に使うべきかもしれないが、葉面を縦にしてみた。こういけてみると、小さな葉の楓なら、ただの緑の平面にしか見えないか、葉の大きい板屋楓だと‘一枚一枚の輪郭かくっきりと浮き出て、文様化された絵柄のように見える。そこで百合の花も六稜の花弁を正面に向けて二輪挿し、真横の形を見せる一輪を左下にそえ‘押絵のような花をいけてみた。作例では直径40伝/の水盤にいけているか、横長の水盤を使えば‘前後の奥行をとらないので、玄関の一隅や、窓際に飾っても邪魔にならない花型として利用できる。晩春から初夏にかけて、いけ花の花材の変化は目まぐるしい。花の終った木々は実を育てはじめ小さな徽葉も大ぎくひろがり緑も日に日に色濃く染まって行く。その刻々の変化を感じとり、それに合った草花のとりあわせを考えるのか六月のいけ花の楽しさである。花材百合板屋即緑釉水盤かを第三種郵便物認可桑原専艇流いけばなテキス312ト号1989

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