テキスト1989
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あ椿内副流し花器柿柑水盤良い枝振りの椿を手にして、生かすも殺すも腕次第と心の中で睦きながらいけるのだが、自信の持てる姿にいけ上がることは滅多にない。椿は花木ではあるが、花よりも枝振りや、葉のつき方が見所になるので、形を構成する枝を見極め、その枝の不要な葉を整理すると共に、要所には茂みを作らなくてはならない。そして花は中心部に開花、枝先には半聞の奮を使いたい。又季節としては晩秋から早春まで、葉の美しい時期に花の咲く品種がよい。暖かくなる頃には新芽に栄養をとられ、古葉の色が槌せ、勢も悪くなる。こうなると、いくら花が美しくても、いけ花としてはあまり良いものはできない。作例は二月下旬、花はついていなかったが、薮椿の枝振りの良いのが手に入ったので、幹と葉を活かして形造り、留には別種の紅椿をそえていけた内副流しの生花である。7

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