テキスト1989
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しゃれZ〈{』’九へミングウェイは、薪にした流木のことをこんな風に書いている。吹きつける砂に磨かれた流木の中には、何処となくハドソンの気持を惹くのが出てきて、燃すに忍びないこともある。::;:たとえ気に入った木でも燃すのは楽しかった。:が、燃える流木は、形容できぬ、ある作用を彼に及ぼした。これほど気に入った木を燃してしまうのは良くないことかもしれぬ、.海や川の流れにもまれ、高山の風雪に叩かれて樹皮がはぎとられ、肉が削りとられた老木の枯枝には、屈曲しながらも逗しく生長し続けた痕が深く刻みこまれている。それは植物の生命の姿の一つと見るとき、いけ花に曝ポ(或は流木)が組みこまれる。古くから立花に曝木は使われているが、作例のように曝木を多用した立花はあまり多くない。京都文化博物館出品作(上の写真)花材・・日に曝きれて白くなり、「海流の中の島々」ロ月μ日|1月6日(晒ポ)中国では文人の書粛に、器に真珠を満たし、そこに美しく磨いた赤い枝珊瑚を立てる、という賛沢な趣味もあったらしい。あまり良い趣味と思わない人もあるかもしれないが、それは日本の建物の中、しかも位4日、さ日寂を旨とする茶室のような件いには異様な室内装飾だろう。だがこういうとりあわせも現在では、ごく当り前のこととして、例えば宝石屋のショウウインドに赤い枝珊瑚が立てられ、真珠のネックレスがかかっていればシンプルな配色として好感をもって見られるだろう。私達は珊瑚を植物に近いもののように感じている。珊瑚礁を海の中の林に例え、その問を泳ぐ魚を花に見たてたりする。いけ花に珊瑚がよく使われるのもそんな気持があるからだろ、っ。表紙に使ったのは、木賊を編んだような団扇状の珊瑚で要の部分に支柱をつけて挿し、仏手柑の指のような部分を左向きに揃えてのばし、右の珊瑚と対称きせている。花器の色も珊瑚と同じ白黒なので、明るいアネモネの色と、仏手柑の黄色が違和感なくおさまっている。花材珊瑚アネモネ仏手柑花器白地抽象文一屑壷4−瑚瑚(表紙3 花花器型青曝赤水松曝銅木椿仙木砂砂鉢の物曝託木if

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