テキスト1989
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、つノ。お岳樺・椿二種挿|胴流しこの二、三日冷えこみがきつくなってきた。今頃日本アルプスの宙船は、深い雪の中から、樹氷に覆われた梢だけ出して、静かに冬眠しているのだろは耐えられそうもない風雪の中で何十年、何百年を生き抜いてきた岳樺の大木が雲霧の中から浮かび上がると一瞬山の精霊に出くわしたのではないかと尽フ程その姿は釦偉である。岳樺は中部地方の高山帯に行くと同じ仲間の白樺も見られる。白樺は名前通りに樹皮の白きが美しいが、ただ真直に立ち上がっているだけで枝ぶりに見所がない。その点高山の厳しい自然をその枝ぶりにまざまざと感じきせる岳樺は手に入りにくい花材だが、少し大きく使って、冬山とは対照的な里の椿をとりあわせ生花とした。配酌椴椿花材花器金条文深鉢た穏やかな四季を送る私達都会人に11

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