テキスト1989
14/141

秋から春にかけて咲き続ける木瓜は稽古花として盛花、投入、生花として必ず何度かいける花材である。稽古に使われる木瓜は、枝の太きは切口でIHンぐらいで長さはl口前後のものである。この大ききの木瓜でも、花が枝先にだけついていればいけやすいのだが、下半分に花がかたまり、上半分は花のない裸の細枝が多い。先代も木瓜は聡らな枝が奔放にひろがっていて、花が枝先につくことが少ないが、なるべく花の枝先にあるものをえらんでいけたい、とテキストに書いているが注文通りの枝は少ない。だが花の咲いていない枝先を切りとってしまうと、いけ上がっても萎縮したように勢いを失なってしまう。そのような理由から木瓜は長い枝のままいけるので、広がりのある相当大きな花型になる。木瓜のような花材は、まず自然なままの大きな形で稽古してみて、その美しさの生かし方をよく理解してから、必要に応じて小型化して行くべきだろう。作例にとりあわせた菊は、今年から出まわりはじめた単弁の管菊で、花弁の先だけがほんのりした淡紅色で大変美しい。もつ一種そえた暗赤色の菊は古く木瓜の稽古花からある晩秋咲の私の好きな品種の一つである。花材朱木瓜菊二種花器濃鼠色花瓶10 ’三検怯

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る