テキスト1989
129/141

ざくろざくろ古い花器ふっくらしたもの、豊かで大まかな形の好きな素子は‘この花瓶に三十年近く色々な花を様々な色、いけ続けている。これを買った二十オ代と今では‘いけ花に対する考え方も随分変ったのだろうが好きな花器への愛着は時と共に深まって行くものである。花をいけることを自分の仕事として以来色々な花器に出遇い、そこに自分の想いを託して来たのだろう。中には目新しさに魅かれてとびついて手に入れたものもかなり多かったか、倦きずに使い続けてきたものはその何分の一かに過ぎない。この花瓶には、秋草を秋草らしい繊細な姿にいけるよりも、大きな鶏頭の鮮やかな色をボリューム豊かにいけたい。だかこの花瓶の変った形を意識しすぎると創作的ではあるか植物の自然さを失なってしまうことか多い。この投入では鵠頭は茎に綺麓な葉を残して生き生きした姿で花器のロから上30バ/ほどの高さにとり、その色彩の量に対して艶のある柘櫂の実を挿しそえている。菊はそれらの色と花瓶の色をつなぐためにそえた。花材鶏頭柘櫂中輪菊花器灰白色釉花瓶形にひ11

元のページ  ../index.html#129

このブックを見る