テキスト1989
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五・六年前、生花に使った蘇艇の小株を庭に榔り出しておいたら、いつの間にか青々とした葉が力強く拡がっていた。丈夫な植物である。私が蘇鉄に興味を持ちはじめたのは、倉敷で高谷玉泉前会長から、蘇鉄の株を使った古い生花のいけ方を教えてもらってからのことである。その後すぐ自分でいけてみたのをテキストにのせたり、「華道名流生花格花傑作集」|講談社ーに発表している聞に個性の強い蘇鉄の以外な美しきに気付いたのである。その後東京で開かれた生柁展に蘇鉄の大作を出品したり、先日の立花展には蘇鉄を胴に使った一作を出品している。作例の盛花には、青葉を四枚つけた一株を主体にして、やや重い感じのする濃緑の蘇鉄企業に対し、水際には椿の斑入葉を使って下部をやや明るくまとめてみた。この濃淡二色の緑に花をまじ、えず猿取茨(山錆来)の赤い実を彩りとしてとりあわせ、後には枯葉の蘇鉄を一株のぞかせた。場所によって、相等大きな盛花にも出来る作例としてとりあげた。花材蘇鉄二株花器斑入り椿猿取茨(山師来)陶水盤蘇鉄8

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