テキスト1989
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てっさび果と云、っ感じである。家庭で、季節の到来を告げる花材としての栗は、野生の柴栗が頃合いの大ききではあるが、よほど実付の多いものでないと、ひょろ長い枝の根元に小さな也が二つか三つついているだけでは淋しい姿である。作例では白百合(カサプランカ)を主材に、実付きの多い柴栗を選んで葉だけしかついていない細枝は切りとって栗の実をまとめて百合の根締めの形にまとめている。大きく聞いた五輪の百合は相当重量があるので重心の低い花瓶を選んで安定させ、茶色に枯れた丹波栗に朱色の柿をそえて配色に明るきを加えてみた。花材白百合(カサプランカ)栗(柴栗、丹波栗)柿の実花器焼締細口花瓶柿には枝振の良い木が多い。作例に用いた柿も、花器の大ききに合わせて枝の根元を少し切りつめただけで形よくおさまった。使った一崩壷は落着いた鉄錆色で秋から冬にかけて、何かにつけて持ち出してくる私の好きな花器の一つである。右に張り出した柿の大枝が大きな弧を描いているので鉄線もおきまりやすい。色付きはじめた柿を主材にした季節の一瓶である。・鉄線(白・紫)花器鉄鋳柑肩壷〈6頁の花〉〈7頁の花〉花材柿7

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