テキスト1989
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かれあ仁さい〈表紙の花〉六、七月頃、豊かな雨水に潤ってあざやかな色合いに咲いていた紫陽花も、八月の強い陽射しを浴びると、秋口には渋い枯色に変る。枯色といっても、もとの淡い青みや淡紅色を残しながら、くすんだ緑や、浅い茶色が拡がりはじめるので、一種独特な深みを帯びた花色に変って秋を過ごす。秋口からの枯紫陽花は、配色によって様々な趣を見せる花材で、深紅のパラのとりあわせによって渋さのなかに明るさをそえてくれる。作例では沖縄の抱だ句瓶ぴλのくすんだ藍と苔色で紫陽花の枯色と調子をあわせることによって、パラの強い赤黒さが強烈な印象を与えてくれるよ、つに関心、っ花材枯紫陽花パラ花器沖縄出府家では時々、季節の花を生花に使う二重切の竹筒に投げ入れている。二重切を使った投入の面白みは上下の高さの差を利用できるところにある。この作例では船十を上の筒から垂れ下がらせた一枝と、下から立ち登紫陽花の枯色竹の花入れあ仁2頁)。2

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