テキスト1989
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い白たでどじょ今第三種郵便物認可桑原専慶流いけばなテキスト山号1989年9月1日発行(毎月1回1日発行)桑原専慶流家元発行二十年ほど前の頃、京都深泥ヶ池に近い北山の麓に住んでいたことがある。パスの通る道以外は殆ど未舗装でのんびりした風景だった。樫子は近くのノlトルダム小学校の低学年で、学校の終る時分、二階の窓から見ていると、畠の向こうに制服姿の棲子が現われる。歩き方はじれったくなる程遅い。その上何が興味をひくのか少し歩いてはすぐ立ち止まって何かを眺めている。溝の縁にしゃがみこんでいる時は泥婚でも眺めているのだろう。都中町五、獅能率、彼岸花、蒲も所々に生え残っていた。赤まんまもその頃見覚えた花の一つだろう。正式な名前は犬琴だが赤まんまで通りのよいかわいい野草である。この三・四年、毎年季節にはいけているが、こういう野草は野草らしく健やかに育った姿を主題にいけてみたい。そして、とりあわせの花で色をおきえて赤まんまのあどけない美しきが上品に見えるよう、鷺さざ草そ−と勺桔き−梗eょうをそえたが、赤まんまの葉は半分以下にすかして小きな花をひき立てる。花材犬琴(赤まんま)桔梗鷺草花器黄土色焼締深鉢赤まんま定価五OO円

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