テキスト1989
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まきまさき花器煤竹寸筒槙や柾木は枝物生花の基本を修得するのに良い花材である。筋の通った素直な枝振の槙は行の花型、或は草の花型のうちでも初歩的で整った生花をいけるのに向いていづ令。太い枝から細枝が多数分かれ出ているような槙は、枝取りの工夫で、やや変調な花型を考えることのできる中級向きの花材である。作例の槙は、真、内副、真圏、そして低い見越までが一本で出来ている。副も胴と一体で、写真では短かく見える胴の枝はかなり前に長く突き出ている。そして真の高きにくらべて副は低く調子をはずしている。槙という花材はこのような使い方で進めて行くと、水墨画に見るような老樹の風格を表現したりすることもできる中々興味深い花材であり、槙でそのような稽古をすることによって深山の風雪に耐えた樹木をいける時の手がかりともなるのである。槙11

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