テキスト1988
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けIさみぞれしゅしぐれマ令。けしろ直大して冷えこみもせず秋も終ったのかな、と思っていたら十二月一日の深夜中庭が真白になっていた。初雪らしい。庭の明かりをつけると、丁度咲きはじめた寒椿の赤きが降り続ける雪の聞から瞬くよ、つに浮かび上がるの私の庭が、一年中でいちばん美しく感じられる一ひと刻ときである。早い初雪。この調子だといい冬を迎えられそうだと楽しくなってくこの数日、雪や嚢まじりの時雨に洗われた寒木瓜は、花の赤みは深まり、白きが冴え、散り残った雪柳の照り葉の色がより鮮かきを増したように感じられる。そして、この木瓜と雪柳を手にとってみると、健やかな季節の息吹が伝わってくる。こういう花は気取らず、のびのびといけたい。垂れ下がる雪柳のために、背の高い花瓶を用意し、木瓜もほとんど切り縮めないで大きく使ってみた。前後左右にのびる木瓜と、下向きの雪柳の枝の出口になる中央部にはよく葉の繁った雪柳を挿して水際の乱れをおおっている。いけていても気分の良い投入である。花材朱ホ瓜白木瓜雪柳紅葉花器赤褐色柑花瓶守二いぶ初雪5

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