テキスト1988
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ヨーロッパから直接輸入される花材を手にすると、花に求める心情の差が感じられる。例えば作例に使ったライラックは日本の花屋が切り出してきたもので、大枝から長短のある枝が二・三本出ていて花房にも大小があり、とした葉が茂っている。これが私達の求めているライラックの枝であり、それは一本の木の自然の姿の縮図といえるだろ、っ。ヨーロッパから切花として送られてくるライラックは割箸の先に綿菓子をつけたよ、つな形のものばかりで葉も花の房の下に少し残っているだけである。これではライラックの色彩の美しきだけは感じられるが、陽春の青空に向かってのび上がってい.るライラックの自然の中でのびのび育った風情をいけることができそうにもない。又オランダから来る美しいチューリップも葉は大てい使えない。その違いの理由は別の機会に書いてみるが、ヨーロッパのいけ花は配色にはデリケートな調和が保たれているが自然な味わいが乏しく、日本いけ花はその反対の傾向が強い。余談が長くなったが、グリーンカラ!と、紫ライラックというとりあわせは色調の上ではおとなしいが、グリーンカラーの茎を長く使って花輸入花材青々4

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