テキスト1988
60/144

あカ第三村耐mM物認可桑似山寸前肢流いけばもテキスト捌号昭和臼年5月1H発行(何一ハ1Ml日発行)桑原咋底流家元発行ふめヲG。定価400円今年は、四月も中旬近くなって、ようやく近所の桜が聞きはじめた。庭の梼も少し遅れたようで、今十種以上が咲き揃っている。赤い怖には、それと感じさせないくらいの青みをおびた大皿がよくうつる。そして大皿に本をはると、ふつく’りした花はな片びらの肌が、きりっとしまり、艶々しはじめる。大川山の手前の一輪は「対釦」といって、花径が日で近い大輪椿である。その左後の紅いのは政椿系の一種だろう。白椿の名前は不明である。遅咲きの情に対して、早生極の花菖蒲は三月下旬、花屋に並びはじめる。だが皐月を待っていけたい花でそんな気持もあって、四月下旬、明るく晴れ上がった空に向かって咲いた花菖蒲の足もとに、咲き残った椿三種を散らしてみたのである。明けはなされた障子から庭を通る風が心地よく床の間を渡って行く。花菖蒲の集がゆれ、水面に浮かべた椿の花が片方に吹きょせられる。誰にでも見つけられる季節の一制、それは、花を挿す以前から抱いている、人の心の優しさなのである。花村花菖浦(葉はオクラレルカを用いた)侍三純花器白磁大皿遅咲き椿に花菖蒲

元のページ  ../index.html#60

このブックを見る