テキスト1988
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時々、「桑原さんは鉄線がお好きですね。」と云われる。好きな花を五種類云って下さいと云われれば必ず鉄線が入るだろうし、三種にしぼられでも鉄線をいれてしまうだろ、っ。鉄線と同類の即転は、古くから日本に自生しており、又鉄線そのものも桃山時代以前に渡来したものと考。』りんえられている花だが、幸田露伴の湖「鉄線は、詩にも歌にも忘れられて、ものの模様だけに使われているが、品格があり静かで幽玄な花である」と書かれている。そう指摘されてみると、近年までは現在のように周年栽培され、切花や鉢植でいつでも手に入る花ではなく、季節の風趣を院かに伝える花であった。派手なとりあわせの中に鉄線が入ると、何となく落着いて見えるようになるのは、そんな潜在意識でもあるのだろうか。作例には白とグリーンのお化けアンスリュlムを中段に二花、上に高くのび上がった淡いピンク、左に流したのは純白のアンスリュlムである。花器が白黒の単純な彩色なので鉄線とアンスリュlムの色が初夏の清々しきを感じさせている。花材鉄線(白・紫)アンスリユーム(白・ピンク・白緑)花器陶花瓶(胴白、首黒)λ言にげ主失市泉4

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