テキスト1988
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一度見に行きたいと思いながら果たせていないでいるが、洛北花背の奥に広河原という山村がある。そこで真冬でも何輪かの杜若が咲く池があるそうだが、最近は管理が行き届かず、もつ花は見られなくなったと聞いている。作例に使った杜若は暖かい日の続いた二月の中旬花屋にあったものをいけたのだが葉も青々していて真冬の杜若とは思えないほどみずみずしい。おそらく温かい水の豊富に湧き出る城陽(京都府南部)で栽培されていたものだろう。冬の杜若は珍らしく、花の高さは長くてロ|日でほどで、多くは枯葉や虫喰葉の聞から花がのぞく出生をいけることになっている。作例の杜若も花は副に用いたもので高き日勺、左後の控に挿した花は刊でほどしかのびていない。副の花には長いhrL一冠3襲fがついていたがそのまま使い、花茎についている葉は却でほどあったのでこれもそのまま真の葉にしている。青々した葉だけでいけ上げた伝書とは趣の異った生花である。冬の杜若花器焼締深鉢工L8

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