テキスト1988
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里楼留流し里桜は数多い桜の中で、もっとも派手な桜である。他の野生、又はそれに近い桜とくらべて花が大きく、その上房状にかたまって咲くものが多い。寒桜や彼岸桜はいけ上げる際、無数にわかれた小枝のさばきに大変手聞がかかるが、里桜は枚先まで太く枝わかれも大まかである。その美しきのとらえどころは重厚な華やかさにあるのだが、生花で最も姿のよい1口前後の高きに枝どりした場合、満開になるとぼってりとした重苦しきばかりが目立つ生花になりやすい。それをきけるため、作例では留と副先に花をつけていない裸伎をあしらっている。それでもまだ写真では重かったようである。花材里桜花器若葉色陶深鉢7

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