テキスト1988
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一年中いつでも花屋の店の大部分をしめている菊は、いつの間にかありふれた花、他に大して良い花がないとき仕方なく使われるという花でしかなくなったようである。ところが同じ菊科の花で、単弁の菊と形の似ているガーベラは、花色が現代人の好む明るさをもっている上に色相の変化が数多く、ガーベラだけで多彩な花をいけることができるので評判のいい花材である。又菊のように暗い緑の葉をつけず柔かくすんなりした茎の上に一輪だけ明るい色の花が咲くので様々な花型を考えることができる。作例には白2本、濃赤色1本、濃いピンク2本、薄色のピンク3本、あわせて8本使っている。このような場合濃赤色から少しずつ色をうすめてピンクから白まで同系色でまとめるのが常套的ではあるが無難な配色である。ガーベラの葉はあまり形の良いものではないので、生花以外は一緒にいけることはなく、緑を必要とする場合はとりあわせた別の花の葉を利用する。作例には莱の花の若緑を用いたが、小さな黄色い花がガーベラの色を強めている。花材ガーベラ菜の花花器白黒彫文花瓶ガーベラと菊4

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