テキスト1988
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ヲ赤棒あや占さるすべ円まさるすべり今から初年ほど前、先代が赤棒と白玉椿をいけていたことがあった。先代のいけ花のうちでも、とくに印象に残っている好きなものの一つだが、赤棒の正式な名称は未だにわからない。その頃のテキストにものっているが、山百日紅、赤棒、赤箸の木という俗称だけしか書かれていない。京都の周囲の山でもよく見かけるが、晩秋落葉しはじめる頃から枝先の赤みが深くなり、霜が降り、あたるとその色が益々冴えてくる。そしてつややかな赤い枝先から下の部分は、晒きれた骨のような白きで、そのくっきりした対照がこの花材の特色である。季節をとりこんで初冬には白玉椿、野趣の感じられる菊類とのとりあわせ。φ。又赤棒で面白いのは、渋い落着きのある味わいと共に、固い直線的な雪に一面をとらえて派手なカトレア等ともとりあわせてみたいし、他の華やかな洋花類ともよく調和する。生花の材料としても中々いいもので、枝の上部の赤と、下部の白を対照的に目立たせながら何本も直立させ、根締めとして白、又はピンクの椿をそえると上品な風趣が感じられここにあげた作例では、紫と自のアイリスをとりあわせてみたが、色彩としては少し冷たい感じがするので花器はあたたかみのある茶色の飴色柑の陶器を使っている。赤棒、アイリスはともに細い茎なのだがそのまま見せられるよ、つ交差を少なくしている。や花材赤棒(山百日紅)花器め飴色柑角型花器アイリス紫・白9

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