テキスト1988
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自然に先立って三月になると虫かりが花屋に出はじめる。花の咲きはじめる頃は葉もまだみずみずしい。人目をひくような美しい花材ではないが、どこででも出会いそうな日本の野山の自然を感じきせる。私達が使う虫かりは、一般に野生の大木の枝で横ひろがりのものが多く、立ち枝は少ない。従って生花としての花型も、横に長くのびる副流しに向いている。作例は副の部分で花を目立たせ、胴の根元に葉付の枝を使って各枝の出口の混乱を少しカバーしてみた。とりあわせには、濃い紫色で縁が白い、あまり華やかすぎないチューリップを選んだ。その他赤椿、パラ等の根締が考えられるが、いずれにしても花色の濃花器白磁彫文花瓶虫かり・チューリップ副流し氏、一一−−−く緑の多いものがよい。6

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