テキスト1988
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とめ枝物生花の留には蘭かよく使われている。配色として中々いいものだが、その添え方はかなり難しい。古くから春簡や各種の日本産の蘭がとりあわせられた絵図が多い。それらの蘭は色調もおだやかで、長年の間に使い方が洗練され、葉も成程と感じさせられるようにうまくそえられている。昔は使われる闇の種類も少なく‘その出生の姿も知りつくされていたのだが、現在では毎年デビューする新種の蘭は数限りなく多い。そして切花として売られている蘭は花柄部から上だけで、下部の葉のついた部分から切りとられた、花屋でいう台切りの蘭は高価な上にあまり多く出まわっていない。出生の自然な姿を見ようとすれば‘植物園の温室に出かけるか、えを買って見る他たしかめようがない。従って作椀に使ったデンドロビューム・ファレノ。フシスやシ、プリペジュームにどんな葉がついて、どれぐらいの高さに育っているものか、多くの人々は知らない、或は関心がないといって差支えないだろう。だが美しい蘭を見れば自分の家にいける生花にもとりあわせてみた<なるだろう。そのよつな場合、わざわざ台切り鉢植蘭の生花二作(表紙と2頁)2

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