テキスト1988
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控5乗鞍岳のドライブウェイを登って行くと、はじめは他の樹木にまじって岳樺が見られるか、頃上に近くなると岳樺と這松の二種だけになる。そして霧の中に、黒々とした這松の緑で覆われた山腹から、屈曲した岳樺の大きな姿が浮かび上がる。岳樺と北五葉松のとりあわせは‘そんな発想に基いている。正真にはH本アルプス山麓の龍騰をそえ、胴と見越には冬を間近に控えた枯葉まじりの蘇鉄を据えてみた。蘇鉄の胴は「立花時勢粧」に中塚半之丞の作例がある。山と里の晩秋の風趣を一瓶に仕立てた季節の立花。花材真・副・請・流枝ー岳樺正真ー龍脆胴・見越ー蘇鉄前置・控ー五葉松花器トルコブルー・コンポート宇野仁松作そてつ岳樺砂の物だけかんば

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