テキスト1988
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えんじいろとうごま〈糸菊〉菊の花の色は、赤、賞、白を基本に変化しているが、赤系統には淡いピンクから赤黒い聴脂色まであるがあまり派手な色合いのものは見られなし作例には濃いピンクの糸菊5本と白い管菊を2本使ってみた。この系統の菊は花は美しいが、葉が少なく、新鮮な葉でも不向きに力無く垂れているものが多い。普通、菊は高く直立きせて花と共にしっかりした緑の美しさを見せるようにいけるが、作例のような葉の弱い菊は高きを低くとり、他の植物の葉をそ、えて茎をかくす。この場合赤紫のフィロデンドロンを軸付きのままとりあわせている。まず軸付きのフィロデンドロンの形をよく見ながら菊の配置を考えて挿し、あとから菊をそえる。花材糸菊(ピンク)花器〈唐胡麻の茎と海芋の茎〉秋口には毒々しい赤さの唐胡麻の茎は、霜月になると赤黒く変色し落着いた色合いになって、曲がった枝先と臓のついた実の異様きを感じなくなる。その唐胡麻の茎と、すんなりのびたみずみずしい黄海芋の茎を対照的管菊(白)フィロ(アンドロン白地に黒楼桃文深鉢9頁8頁にとりあわせてみた。海芋5本のうち2本は直立きせて唐胡麻と並べ、残りの三本は茎の曲線に従って長く前、左横、左後へ斜につき出している。谷渡りの葉は八つ手のように先のわかれたものを水盤の中央部に挿している。花材黄海芋唐胡麻谷渡り花器濃紺粕水盤日月お日という日は昔から雨が殆ど降ったことがないそうである。この日ラグビーの早慶戦が行われる。父が慶応のキャプテンだった大正時代の終り頃決められたと聞いていヲ@。久しぶりに母と素子の三人で観戦に出かけたが快晴で風のない暖かいおだやかな午後だった。だがゲlムの方は慶応の無残な大敗でこれはお話にならない。それよりも、ラグビー場で素子の撮ってくれた写真を見て驚いた。私と母の年令の差が何時の間にか、うんと縮まって見えるのである。母が現在乃才、私が印オ。もともと私は母親似の上に年令差が普通の親子より少なかったので、たまに姉弟と間違えられることもあった。だが白髪頭が二人並ぶとそう思われても仕方のないような気がする。〈早慶戦〉" 8

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