テキスト1988
117/144

第三種郵便物認可桑原専慶流いけばなテキスト制号昭和臼年目月1日発行(毎月1回1日発行)桑原専慶流家元発行生花三種いけ雪柳・鉄線・菊先代の作った「専渓生花百事」には、一株いけに、三種以上の花をとりあわせた生花が凶作出ている。二種挿しの場合は大体伝統的なとりあわせになっているが、三種挿しでは中々面白いとりあわせが見られる。その中でも興味深いのは、モンステラ(真・副・見越)lアネモネ(胴)|紅梅(総囲・留・控)という生花で、異質な植物のそのままの姿を無理なくまとめ、不自然さを感じきせない。生花は古典いけ花として、用いられる花材も一般に伝統の枠の中で選ばれているが、生花のはじまった江戸時代後期は花井園芸が発達し、輸入植物も上手に日本国内で栽培され、花道家もそれらを自分の生花に自由にとりいれてみようとする気風のあった時代である。上の作例は、三種挿しとはいっても、ごく初歩的なとりあわせで、九月中旬の稽古に手本としていけたものである。十月の下旬には雪柳も紅葉しはじめる。その季節の生花のとりあわせを考える参考としたい。花材雪柳|真・真囲・見越・副・控鉄線(白)|見越鉄線(紫)l副の沈み・胴紅菊|総図・留花器煤竹す筒定価五OO円

元のページ  ../index.html#117

このブックを見る