テキスト1988
116/144

先日和則と楼子が白馬岳へ行ったとき、私へのお土産に、二人で見た山草の写真を沢山とってきてくれた。野生植物の自然な生態を知っておくことの大切さは云うまでもないことである。昔から「花は足でいけよLと云われているが、野山を歩いていると、思いがけない植物の生命に出あったり、見慣れた平凡な風景にさえ、改めて感じ入ることもある。鳥兜は夏から秋にかけて紫色の花が咲く。初以上種類があり、その区別は難しいが、いけ花として形のよいのは、山鳥兜と細葉鳥兜だろう。山の斜面に長き1灯ほどの茎が花の重きで傾き、風にゆれている姿が鳥兜の美しきだろ、っ。作例では秋草としての風情を表現する為、切花として売られている鳥兜の、っき過ぎた花を半分以上整理して山草らしさを見せる。やや淡い鳥兜の紫に対して、四弁の赤紫色のクレマチス(鉄線)は良い配色だと思つ。薄は穂4本に対して、葉は3枚しか使っていないが、鳥兜と、クレマチスで相等な量感があるのでこれ以上加えない方がよきそうである。クレマチス(鉄線)花器竹寵花材鳥兜薄山草11

元のページ  ../index.html#116

このブックを見る