テキスト1988
102/144

ヰ守つ。いけ花に使われる栗は、八月から九月にかけて、まだ誌の緑色の野生の柴栗で、実をとるために栽培された大型の丹波栗は枝物花材としてはあまり使われていない。花材としては、秋の風情に満ちているのだが、枝振の変化が乏しい。大枝から小枝は昭同じ角度で左右にのぴ、横から見る手の指を開いたような平面的な感じである。こういう形の枝物花材は奥行がをりにくいので、左右対称的に出る枝のうちの何本かを切りはずすか、勢め曲げてバランスを崩していける。そして秋らしきを感じきせる実が目立つように、葉は枝先や中程に二、三枚だけ残して、あとは整理してし作例には、野生の柴栗にあわせ、備前焼の花瓶を二本前後ずらせて並べ、栗の枝を主材に自転慌をそえてみた。右の花瓶では、栗の枝を右斜前と、正面に向けてきし出し、その後に白龍臆を垂直に立てている。左後の花瓶には垂直に立てた栗の枝の奥に、やや後に倒した校をそえている。色彩は白と緑だけの単純な初秋のいけ花である。花材柴栗花器白龍臆備前焼花瓶栗8

元のページ  ../index.html#102

このブックを見る