テキスト1987
99/147

ぶどう第三種郵便物認可桑原尊慶流いけばなテキスト捌号昭和臼年8月1日発行(毎月l回1日発行)桑原尊師旋流家元発行四、五年前からいつこう大きくもならない鉢植の葡萄が庭に置きっぱなしになっている。家事を手伝ってもらっている木下きんが忘れず水をやってくれているので細々と生きながらえている。八月も判ばを過ぎると秋草の季節となり、発似をいけることが多くなるが葡萄がいけ花に使われることは多くはない。果樹園に栽培されているような立派な葡萄は房が重く扱いにくい上に葉の水揚がよくない。だがその蔓状の太い幹の、茶色と灰色のまじりあった木肌は、強い色の花をとりあわせると独特の美しきを発揮するので、いけ花展の大作の花材として使われている。葉や実のついた葡萄をいけ花展等で使う場合は鉢植のものを根洗いのまま適当な形に枝葉を整理するか、切ってその場ですぐいけると良い。作例は1幻ほどの蔓のわかれ枝をとり、垂れ下がった主枝をそのままの形をたもつように花器の右に下げ、残りのわかれ枝を前向きに挿して花器の口のあたりをととのえている。グロリオlサの葉は葡萄の葉と重なると重苦しいので全部とり去り、グロリオlサの紅色を鮮かに見せるよ、つにした。花材葡萄グロリオーサ花器灰緑色柑扇壷鉢植の葡萄定価五OO円

元のページ  ../index.html#99

このブックを見る