テキスト1987
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ダリアダリアは全世界で約三万、日本にも二千種ほどの品種が栽培されているというが、花屋に出はじめる四月から十月までの間に、それほど多くの種類に出会うわけではない。そのダリアの中で、私のいちばん好きなのは、作例に使った織が淡いピンクで、内側の真白なこの品種のダリアである。多くのダリアの中でも、最も大型に育つ品種の一つで、清らかきと、豊かな潤いを感じる。江戸時代の終り頃(一八四二年)渡来し、佐丹」と命名して珍重されたのは、このダリアだったと想像したい。作例には一本だけ枯アリウムをとりあわせてダリアのみずみずしきを際立たせている。ダリアの葉は、普通もちのよくないものだが、切りとられてから私達がいけるまでの時間が短く、花屋までの管理が良ければ心配なく葉も共に使える。花器は先年亡くなった林平八郎さんという方の作品で、絵柄が好きなので買い集めたものの一つである。このダリアは短く切って水盤に浮かべ、カラジュlムの葉をそえると睡蓮や蓮のような水草にも負けないみずみずしきで、真夏のいけ花としてすすめたい。花材ダリア枯アリウム花器白地黒粕象文様花瓶「元町コ11

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