テキスト1987
95/147

透百合歯だ花器藍色柑コンポート古い生花の絵図を見ていて、いつも感心するのは草花の扱いにすぐれていることである。中には生花の花材にするために、自分で好きな形に育てたのか、と思えるほど優美な曲線を描いた花型図も見られる。生花を習いはじめた頃、「草花の生花の上手な人こそ本当に生花の上手な人なのだそうですね。」とある年配者に話しかけられた言葉が忘れられない。枝物花材は一本の枝から適当な部分をとり出して、勝めをきかせれば好きな花型を得られるが、茎の弱い草花ではそうは行かない。従って持っている姿のままの、わずかな反りや傾きを利用していける以外に方法がない。この生花もそのようにしていけた作例の一つである。羊し7

元のページ  ../index.html#95

このブックを見る