テキスト1987
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毎年京都では八月の初旬、五条坂で陶器祭が聞かれる。露店が賀茂川から東山通まで並び、地元の陶器屋も年に一度の大安売をはじめる。以前は欝り黙の余分の強昨を生かして遊び半分に作ったものや、輸出陶器の不合格品の中に、ふだんでは見られない面白みのあるガラクタといってもいいような品がまじっていた。又稽古用の花器もそんなとき大量に買っていた時代もあった。そんな花器とは別に、いけ花展に使うよ、つなものは年に幾度か開催される工芸展の会場へ探しに行く。いつも素子と二人で見に出かけるが、良い工芸展だと当然のことだがこっか三つは必ず心をひかれる作品がみつかる。だがその作品に自分の花を生かすことができるかどうかは別物で、買うべき花器というのはそう簡単には見つからない。この花器は森野泰明氏の一昨年の新工芸展出品作だが素子のお気に入りで、強い表情を持った花材によくあう作品である。この花器にとりあわせたグロリオーサには、黄色、積一色一、朱色、濃紅の四色があるが、色の強い濃紅色が原産地の熱帯アジアの自然を最もよく象徴しているようである。花材グロリオlサ(濃紅色)花器黒地抽象文一廟壷花器、えらび4

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