テキスト1987
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づ②こ〉γもふめヲ令。の邦楽百選は、菊原初子さんの、筆曲「六段」からはじまった。中でも私達に最もよく知られた曲であり、又習いはじめの練習曲にもなっているらしい。かれて聞きに行くことがあるが、大体その発表会の番組のはじめの方に出てくる初心者によって演奏される曲目である。ていないが、いかにも春らしいのどかな曲で演奏者には申し訳ないが睡気を催しそうにな私がゲストとして出演させていただいた日「六段」といえば等曲のたまに知人のお嬢さんのお琴の発表会に招上手下手が正確に聞き分けられる耳はもっその日、ゲスト出演ということで、幾分緊張していたせいもあったが、まず「六段」のためのお琴の調律、そしてリハーサル、本番と三回続けて聞いたのだが、「六段」とはこんな曲だったのかと引きこまれるように聞いてしまった。何故そのような気持になれたのか、うまく説明できないが、例えば桜には幹もあり花も咲く。そしてその日の風の肌ざわり、あたりのざわめき、空の色、それらが綜合されてこそ春の自然であり豊かな変化がある。それを私のような邦楽に不案内な者にお琴を通じて想い起こさせて下さったのである。私のいける桜にも、もっと深い奥があり、現在もまだ初心者に近いことをはっきりと知った。11

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