テキスト1987
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・4I叫fdq,ノLvnu ぷリす牛お麦だ株分け花器白磁水盤近付いてきた雛祭りのために桃の生花をいけてみた。雛の節句には桃の花がつきものだが、そのとりあわせには菜の花がよく用いられる。桃も他の落葉性の春の花木と同じように、花が咲き終ってから若葉が生長するので、開花期には一種挿しだと緑が見られないので他の花材の葉をそえることが多い。桃の季節に菜の花は、緑の色も鮮やかでふっくらとした量感もあり、黄色の小さな花がかわいい。その上一昔以前には日本中どこにでも植えられている身近な花だった。桃は、古くから立花にも使われてきたが、太い大枝や屈曲した枝はあeえまり好まれなかった。伝書にも「枝振素直」な若枝、「あまり狂いたるは勤しく」とか記されている。この点屈曲した老木の雰囲気を表現しようとする梅の扱いとは対照的である。桃の花が咲く三月下旬には、麦も鮮やかな緑の茎から穂が出はじめる。桃に菜の花はふくよかな優しきのあるとりあわせだが、麦との清楚なとりあわせも私は好きである。作例では、主株の桃は水盤の大ききにあわせて枝数の少ない副流しとし、子株の麦5本は直立した真の花型に近い。花留めは、あまり扱いの難しいものを使う必要はないが、花器、花材に応じたものを用いたい。7

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