テキスト1987
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おかとら的をるりはこ野草として、或は園芸植物として親しまれている桜草は、桜草を代表にシクラメンや岡虎尾、瑠璃繋婁琉球小桜、九輪草等多くの属を従えている。日本でも園芸植物としての歴史は古く、江戸時代には五百品種以上もあったらしい。それらの園芸品種と在来の野生種と、明治以後渡来した洋種の桜草を区別して、後者を西洋桜草、或は洋種桜草とよんでいる。江戸時代に多数作り出された和種の桜草は花弁の形の変化を楽しんだそうで、切れこみの深いはっきりした形、花弁の反り具合に微妙な変化があらわれている。洋種の桜草は、プリムラという属名で売られているが、その一つである、プリムラ・ポリアンサは、花の色が白、赤、黄、ピンク、深紅、紫と多彩である。又プリムラ・アウリクラには銀緑色、黒褐色等があり、花色を中心に多様な園芸品種が作り出されているといっていい。作例に使った桜草は、花径が日でほどのかわいいピンクの花で、多分中国系の桜草であろ、っ。鉢植えの草花は大体根洗い(鉢から取り出して根の土を洗い流す)してそのままの形で使うことが多い。その場合枝葉がよく繁っているのでとりあわせの花材は茎が長く線条のはっきりしたものがいいようである。作例では葉の小さいカーネーションの茎を横に長くっき出し、桜草のかたまりと対照させていけてみた。カーネーション桜草べ早花器褐色粕花瓶9

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