テキスト1987
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りゅうきみずぱぎぜえそうιかLaA,榛の木チューリップ(黄・ピンク)|副流し花器焼締深鉢樹の木は別に珍しい樹ではないのだが、目立つような花も咲かず、庭木として植えられることもないので知っている人は少ないようである。湿地に多く、北海道や東北地方の河岸に広い榛の木林が見られる。そして自然状態のよく保たれている高冷地の榛の木林の下には、水芭蕉ゃ座禅草のような湿生植物、小さな流れの中に立金花が咲く。現在では殆どが農地化されてしまっているが、早春の戸隠高原では榛の木の林を水芭蕉が美しく彩っている。生花の作例としては、同年3月号、引年2月号にとりあげている。花材として利用するのは、晩秋落葉し、枝先に黒い実ができてから、春に花が咲くまでの間で、生花よりも現代花によく使われている。生花の場合、まず注意することは、割合きくい木なので折らないよう一ヶ所できつく撲めず、短い間隔で何度にも分けて形をつける。もし急角度に曲げる必要があれば火携めする。火携めは、蝋燭の火で携める部分をあぶり、徐々に曲げ、急速に冷水で完全に冷やす。榛の木は一種挿しではあまりにも寒々した感じなので、留側にはチューリップ、パラ等明るい色彩で、潤いのある花をそえたい。チューリップは根元に近い広葉をうまく利用できるよう、二段に切り分けて形をととのえる。ひだ5

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