テキスト1987
20/147

ラッパ水仙|副流し花器備前焼花瓶ヲ令。本来の開花期は四月だが、十二月雪柳の枝の流麗な曲線を、生花の型におさめてみると、その優美な姿を改めて知る想いがする。技巧上の難易の度合いは中程度のものだが、境める際折れやすいので決して無理な形を求めないことであ末頃から事咲きの雪柳が花屋に出はじめるが、その頃のは、一把のうち生花としては使いものにならないような短い細枝がほとんどを占めている。そして花のつき具合も陽春に自然開花したものとくらべるとまばらである。作例は室咲きの雪柳の中から良いものをえらんで使った。留、総圏、控には貰色のラッパ水仙をとりあわせてみたが、雪柳の純白とは優しく明るい配色である。ラッパ水仙の扱いは、和水仙と同様に葉組みをするのだが、袴が破れやすいので注意を要する。このとりあわせを竹筒にいけたのでは、折角のラッパ水仙がひき立ちそうにもないので、軽快な感じの備前焼の花瓶を使ってみた。そして敷板に朱塗りの蛤板をえらんで華やかさを加えている。生花の花器には古風なものをえらび勝ちだが、江戸時代の生花図を見ると、その当時創作されたと見られる斬新なデザインの花器を喜んで使っているようである。そういう点は現代人も見習うべきであろう。告1§-相l4

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る