テキスト1987
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かんばりんぜJ第三種郵便物認可桑厭専疫流いけばなテキスト283号昭和62年1月1日発行(鉗月1同1日発行)桑原専疫流家元発行定価五00円朱色の寒木瓜には温かみがある。ボケという名前のせいだろうか。梅のように凜然とはしていない。花もふっくらと厚みがあって親しみがもてる。だが桃の枝のように単調ではなく、屈曲が多いので、枝ぶりに従っていけていても、様々に花型か変化して行く。とくに年数を経た木瓜の老木の枝は奔放にひろがって伸びて交差が多い。先月号の裏表紙に掲載していた、実付きの木瓜は、相当な老木でとくに屈曲が多い。古典的ないけ花では‘交差を嫌い、又棘のある花材は敬遠していたので、木瓜をいけるにしても制約にしばられて、その本来の持味を生かすのは難しかったのではないかと思っ゜ところで、普通切花として稽古等に使われている木瓜は、枝の根元で直径1バふ以内、長さは1ばから12訂ぐらいあり、花はその中程にかたまって咲き、その先は細く、作例の右端のような枝ぶりが多い。木瓜の使い難さはその点にある。花から先の細枝を切り落すと自然感が失われ、残せば長過ぎて間延びのした花型となる。このような場合、花型が普通より少し大きくなることを考慮にいれた上で、例えば5本のうち3本は枝先は切りつめ、2本は枝先を撓めて少し短かく見せるという工夫が必要である。作例では左に出た枝は先を切りつめているか、右側の2本の細枝は前後にふり出し、中程から上向きに撓めて少し短かく見せている。とりあわせの白椿には‘葉を充分に使って、うるおいをもたせる。花材知加瓜白椿花器銹釉扁壷かんぽけ寒木瓜け

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