テキスト1987
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山航船協という樹名は、葉と茎の部分が族(手長猿のこと)の手のように見えるところから名付けられた。杉は日本では重要な林業樹種であるだけに、古代からなじみが深く、地方的林業品種として秋田杉、立山杉、吉野杉、魚や梁止せ瀬杉、京久杉、京都の北山台杉等の他に、園芸品種として庭木や切花に使われる作例に使った猿猿杉、葉のよじれる経よれ杉すぎ、緑杉(青杉)、雪冠杉(翁杉)、貰金杉、老人杉(仙人杉)等がある。猿猿杉はあまり大きな木にならず、樹高は1μから4灯ぐらいで、枝は輪生して細長く紐状に下垂する。いけ花用花材としては、生花に向いており、価格も安い。枝は茶褐色の樹皮におおわれた太枝から葉に包まれた茎がのび出ているが、図①のように長い茎と、図②のような短い枝が交互に出ている。どちらを主に使ってもよいが作例は長い茎をえらんで真と副をとり、輪生する短茎を胴、留にあてている。8

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