テキスト1987
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巨寸コ空白」軍品出ず,V】持百八やまあい山錦木山錦木花器日月号で紅葉の錦木の生花を掲載している。錦木は枝に四稜の鰭ひれがついているのがその特長だが、鰭のないものを山錦木、或はや橿とよんでいヲ@。山錦木の樹性は錦木と同様で、秋の紅葉、果実も変りがなく、錦木の野生種ということで、京都の周辺の山で時々見かけることがある。花材としても錦木同様に秋の紅葉が見事だが、今回のは澄んだ空気の中で育ったせいか、こころもち、その色が冴えているような気がする。作例は野生の感じをとりいれて、枝の整理は最小限にとどめ、真、副、胴の主要三枝は付属枝もほとんどそのまま使っている。留にはごくありふれたとりあわせではあるが、大きく開いた淡紅色の一重咲の椿をとりあわせている。紅葉の錦木には、よく白玉椿を留に使うが、作例では、山錦木の紅葉の量感が大きいので、真白なふくらみのあるどっしりした花器を使って山間で美しく染まった深紅色に対応させてみた。晩秋の花材として大切な紅葉類は、その色の美しきに価値があるのは当然のことで枝ぷりの面白きを求めて枝葉を整理しすぎると冬をひかえた秋の華かさが失われ、わびしさばかりの寒々したいけ花になる。淡紅椿6

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