テキスト1987
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.. 山,A, 花器薄茶利貫乳深鉢夜明けの散歩道で、吐く息が白くなりはじめる頃、やっと水仙が越前岬から花屋の店に届けられる。水仙の概慨を買うときの楽しみは四季に一度しか味わえない。今年は十月八日、去年はもっとおそかったと記憶をたどる。だが私は初物には思い入れが多過ぎるせいか、いけたあとでゆっくり眺めると作意の目立つ生花になっていることを時々感じる。この初物の水仙は、すらりとした立ち上がりの美しさを求めていけたのだが、真の葉組の中程が少し窮屈である。こんなに密着きせずばらっと自然味のあるゆるやかな葉組にすべきではなかったかと感じている。真と副に花を用いて葉は四枚組、留には葉のみ三枚を組む。水仙は三本以下の場合は留を一番前に挿して、その後に副、真と縦一列に並べる。五本以上の場合は留と胴を左右に並べ、留の後に留の沈み、控等を挿し、胴の後には副、真囲、真、見越、或は必要に応じて副の沈み等、副側の役枝を配して縦二列に並べる。ァk7

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